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アルバム紹介


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ジェフ・ベック(JEFF BECK) 「ブロウ・バイ・ブロウ(BLOW BY BLOW)」
1. 分かってくれるかい / You Know What I Mean
2. シーズ・ア・ウーマン / She's A Woman
3. コンスティペイテッド・ダック / Constipated Duck
4. エアー・ブロワー / AIR Blower
5. スキャッターブレイン / Scatterbrain
6. 哀しみの恋人達 / Cause We've Ended As Lovers
7. セロニアス / Thelonious
8. フリーウェイ・ジャム / Freeway Jam
9. ダイヤモンド・ダスト /Diamond Dust
1974年1月26日
クリームやジミ・ヘンドリックスのエクスペリエンスに匹敵する
スーパー・トリオ・バンド、BBA(ベッグ,ボガード&アピス)は、
この日、レインボー・シアターでのファースト・ショウ終了直後に、
ティム(ボガード)がジェフを殴ったことで、あっさり消滅することになった。

時に時代は、クロスオーバー(フュージョン)と呼ばれる音楽に流れていく中、
ジェフの心を捉えたのはジョン・マクラフリンという 一人のイギリス人ギタリストだった。
マハヴィシュヌ・オーケストラを率い「火の鳥」等の名作を生みだした才人は、
その名の通りジャズとロックの融合を着実に推し進めていた。
そんな中、このバンドの「APOCALYPSE」という一枚のアルバムがジェフを突き動かすことになる。

ロッド・スチュワートを失い、
ポール・ロジャースにはふられ、
ヴォーカリスト探しには苦慮していたジェフにとって、
ギター・インスト アルバムといアイデアが生まれたのも
当然といえば、当然なのだが、
「APOCALYPSE」の影響が大きいかったことも否めない。

現に、「APOCALYPSE」をプロデュースしたジョージ・マーティンを起用し、
音楽の方向性は、明らかにジャズとロックの融合へと突き進んでいた。
これまでのフュージョンは、ジャズ畑のミュージシャンが
ロック・テイストのプレイをすることが それとされていた中、
バリバリのロック・ギタリストがフュージョン・ミュージックを
プレイするというのは、画期的というか、驚きそのものであったに違いない。

楽曲自体は、BBA消滅後もジェフに付きあっていた、カーマイン・アピス
第2期ジェフ・ベック・グループのキー・マン、マックス・ミドルトンと、
後にロッド・スチュワートに引き抜かれる若きベーシスト、フィル・チェンの
3人でのセッションで、ほぼ骨組みは出来上がっていたようだが、
アルバム・タイトルを「ジェフ・ベック&カーマイン・アピス アルバム」にしたいという、
カーマイン側の主張をジェフ・サイドが却下したことによって、
カーマインは、遺恨を残したまま去っていったようだ。

レコーディング自体も、ジェフが、なかなかスタジオに現れないため、
マックス・ミドルトン、フィル・チェンとプロデューサーのジョージ・マーティンで
ほぼ録りあげたオケのうえに、遅れて来たジェフがオーヴァーダブするという形で進められたようだ。
(クレジットはジェフの名前になっているけどね.....)

この時期、ジェフはいろんなところに顔をだし、
いろんな噂にさらされている。
ミック・テイラーの抜けた後のローリング・ストーンズ加入説、
UPPの第3期ジェフ・ベック・グループ化
(UPPのドラマーが、Charさんの相棒ジム・コープリーさんです。)

敬愛するジョン・マクラフリンとの共作 等々である。

ジェフは、いったいどうしたかったのか?

おそらくジェフは、弾きたい音を弾きたい時に弾いただけだったのであろう。

見た目、お世辞にも積極的に参加したとはいえないレコーディングに見えるが、
いったんギターを持つと、その評価は一変する。

「彼はブルース・プレイヤーでもロック・プレイヤーでもジャズ・プレイヤーでもない
 ジェフ・ベックなんだ。唯一無二の存在さ!」
マックス・ミドルトンが、のちのインタビューでそう語っている。

ほぼ、ギターに愛着を持たず、ギターを弾くことより車の改造に時間を費やす
それが、ギタリスト ジェフ・ベックだ。
しかし彼の弾きだす音は、聴くものの心に突き刺さり、全てを圧倒する。
彼の音は、間違いなく彼意外には出せない音なのだ。

そんなプレイが詰め込まれたアルバム「ブロウ・バイ・ブロウ」!
鮮烈で名作であることに間違いはないが、
ジェフにとっては、この時に弾きたい音を詰め込んだだけのアルバムなのだろう。

確かにジェフは、このアルバムでジャズ・テイストのプレイなど全く意識してなさそうだ。
複雑なコードなんか知るはずもないだろうし、
スケールなんて、どうでもよいことなのだろう。

才に恵まれなかった私にとっては、
”天才”と呼ぶしか形容しようがない男なのである。

たぶんギター弾き達にとって最も参考にならないギタリストなのかも?
いくら練習しても、あぁは、ならないからね。